三大学合同の政治理論研究会(於:法政大学現代法研究所)にて,研究報告をさせて頂きました.
「政治的なものとガバナンスのあいだ――企業統治論からの接近」と題して,政治的なものの擁護という立場からガバナンス論をどう評価できるのかを検討する内容でした.
あまりまとまりのない報告になってしまいましたが,今後もう少し煮詰めていきたいと思います.
報告要旨と目次を載せておきます.ご関心をお持ちの方は,kihamu[at]gmail.comまでご連絡頂ければ,報告資料をお送りします.
- 要旨
政治的なものの擁護を図るとき、政治学の内外で展開されてきたガバナンス論への態度は両義的なものとなる。それはこの言説が、国家のみが公共を担うものではないと語ることで政治的なものの可能的領野を拓いてきた理論的貢献を伴うと同時に、経済的・技術的な脱政治化と国家権力の再編成を企図するイデオロギーとも目されてきたからである。だが、政治的なものとガバナンスのこの緊張関係は、それほど詳細に分析されてきたわけではない。本報告では、政治と統治のあいだで分節化されうる行政や経営の概念に若干の検討を加えながら、脱政治化に親和的であるように思われがちな企業統治論にこそ、政治理論が対象とすべき政治的なものを見出せることを示し、「あいだ」の分析に一助を為したい。
- 目次
- 1. 問題の文脈
- 1. 1. ポスト政治の時代における政治の擁護
- 1. 2. ガバナンス論の展開――政治から統治へ?
- 1. 3. 本報告のねらい
- 2. 政治・行政・経営――「あいだ」の探索(1)
- 2. 1. 行政
- 2. 2. 経営
- 2. 3. ガバナンスにおける行政/経営
- 3. 経営・統治・政治――「あいだ」の探索(2)
- 3. 1. 経営から統治へ
- 3. 2. 経営における政治――stakeholder governance
- 3. 3. 企業統治における政治の恒常性
- 4. 結論
- 4. 1. 統治の性格をめぐるメタ・ポリティクス
- 4. 2. postscript:統治性の罠?
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