Wednesday, April 13, 2011

誰が都知事を選ぶべきか


進学について激励を頂いた方々、改めてありがとうございました。さて、ごく個人的なことをいつまでも最新記事に掲げておくのはどうも気恥ずかしいので、最近考えたことを簡単に。


以前「私たちはなぜアメリカ大統領を選べないのか」といった論点について述べたことがあります。アメリカ大統領は世界大の影響力を持っているのだから、その選挙権はアメリカ国民に限られるべきではないという考え方ですが、多くの人にとって流石にこれは随分突飛な話に聞こえることでしょう。いくら何でも住んでもいない国のトップを選ぶ権利なんて…と(では住んでいる国ならどうか――となると、これは定住外国人の参政権についての話になりますが)。

さてでは、先般選挙が行われたばかりの都知事について、同じ考え方を(よりマイルドに)適用した場合にはどうでしょう。言うまでもなく、東京都には(わざわざ別に「首都圏」という言葉があるほど)近隣他県から多数の人々が通勤・通学していますが、これらの人々に選挙権が認められないのは不当ではないでしょうか? 彼らはその生産・消費の活動を通じて都の経済・財政に貢献しているはずですし、同時にその生活は、事業所・学校を管轄する都の決定に大きな影響を受けています。1日の大部分を都内で過ごし、寝るためだけに都外に帰る、といった人も少なくないはずです。それなのに、なぜ寝床がある街の選挙権だけが認められ、通勤・通学する先の街の選挙権は得られないのでしょうか。都民でなくとも、都内に通う人々には都知事を選ぶ権利が認められて然るべきではないでしょうか?


日本の統計」2011年版によれば、東京都の平成21(2009)年推計人口は約1286万人(ただし都の2011年3月推計によれば約1315万人)。その内19歳以下人口が約211万人なので、成年人口は約1075万人です。昼間人口のデータは平成17(2005)年分が最新なのでそれを見てみると、約1497万人であり、同年の東京都人口は約1257万人なので、差し引き約240万人の非都民が都内で就業・就学している計算になります。もっとも、これは都内に居住して他県に通勤・通学する人口との相殺後の数値なので、他県から都内に通勤・通学する15歳以上の人口自体は、より多い約302万人です(15歳未満を含めれば、さらに多いことになるでしょう)。

昼夜間比率は平成12(2000)年も大差ない(どちらも約1.2倍)ので、最新の国勢調査でもそれ程大きな変化は見られないのではないかと思います(都のサイトも参照)。他県から通勤・通学する人口の年齢構成は定かではありませんが、少なく見積もっても200~250万人の成人が都外から通っているということではないでしょうか。大雑把な計算を続けますが、2009年時点での都の成年人口が約1075万人なので、最低でも昼間成年人口の6分の1は非都民が占めることになるのではないかと思います。帰結の議論はここでの本旨ではありませんが、他県から通勤・通学する人の年齢構成等は夜間人口とはまた異なるでしょうから、この層が選挙権を得れば、選挙結果への小さくない影響が予想されます。


数字の扱いは苦手なので、もっと良いデータがあれば教えて下さい。より正確な計算も、どなたかして頂ければと思います。とりあえず私の第一の関心は原理上の問題でして、帰結として大きな変化になるかどうかは副次的に考えてみたまでです。この種の議論がこれまでに全くないはずもないのですが、私は知らないので、詳しい方には教えて頂けるとありがたいです。

重要なことは、選挙権(ないし政治的影響力)の付与の根拠が何であるか、ということです。事実上、都の「被治者」で(も)あるならば、都民でなくとも選挙権が認められることには理由があります。都知事を選べる代わりに、神奈川県知事は選べなくなる、といった二者択一の話にしてはいけません。加重投票権の考え方を採るべきです(票の分割も案だと思いますが)。神奈川に住んで都内に通うなら、どちらの選挙権も認められる。それが許されるなら、都内に住んで都内の職場・学校に通う人には1.5~2票などが認められることもあり得るでしょう。また、この考え方を(デーメニ投票法的な視点を交えて)応用すると、都内に通っていない人でも、都内に通う未成年の子どもを持つ親は、その子どもの分だけ都内の選挙への投票権を加重される、といった形も考えられるかもしれません。


まぁ、これでもやはり突飛だよと思われる方はいるかもしれませんが、ひとまずアイデアとして考えてみるだけでも価値はあるかなと思います。


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