Thursday, April 10, 2014

御礼: 清原 [2013]; 清原 [2014]


著者の清原さんにお送り頂いておりました.どうもありがとうございます.

いつもながら鮮やかな分析かと思います.

  • 清原悠 [2013] 「住民運動の地政学的分析」『社会学評論』64(2): 205-223.
    • 1 問題の所在
      • 1. 1 住民運動における地域,住民,運動の意味――当事者概念としての住民運動
      • 1. 2 分析視角――地政学的分析の方法論的位置づけ
      • 1. 3 政治資源/主体としての住民運動とその捻じれ――事例としての横浜新貨物線反対運動
    • 2 横浜新貨物線反対運動と横浜の都市空間
      • 2. 1 横浜新貨物線反対運動の発生と革新自治体との関係
      • 2. 2 横浜の人口増加
      • 2. 3 横浜の宅地開発状況――丘陵地における大規模団地開発とその問題
    • 3 横浜の政治地図
      • 3. 1 飛鳥田横浜市長の誕生
      • 3. 2 革新市政と政治的資源としての「住民運動」
      • 3. 3 横浜新貨物線反対運動の地政学――革新勢力の地域形成を支えた保土ヶ谷区と港北区・神奈川区の条件の差異
    • 4 住民運動の換骨奪胎――住民運動の「父」=飛鳥田/「鬼っ子」=横浜新貨物線反対運動
    • 5 結論

  • 清原悠 [2014. 2] 「〈私的な公共圏〉における政治性のパラドックス――女性団体・草の実会における書く実践を事例に」『ジェンダー研究』16: 79-114.
    • 1 問題の所在――女性が「書く」ことの意味
    • 2 書くことについての先行研究
      • 2. 1 書くことによる解放――綴り・まじわる文化/語り・まじわる文化
      • 2. 2 戦後における書くことの隆盛――モラルの焦土から世界の再創造へ
    • 3 〈書く共同体〉の位相――歴史的文脈と組織論の観点
      • 3. 1 複数性を重視する草の実会――草の実会の会員層
      • 3. 2 活動の基本となる地域グループと連合体としての草の実会
    • 4 媒介としての『草の実』――匿名性・公開性・技法
      • 4. 1 『草の実』における2種類の匿名性――外部に対する名前の見えなさ/内部における顔の見えなさ
      • 4. 2 『草の実』における読む工夫――知らない他者の私的な綴りを読む技法
      • 4. 3 公開性=親密性の演出――〈不特定他者への綴り/特定他者への応答〉の非対称性
    • 5 私的な公共圏の形成――誌上と対面の循環関係が作りだすジェンダー・ポリティクス
      • 5. 1 我が家の赤字家計を語る女性達――「話し合い」と「実行」を媒介する「研究」
      • 5. 2 誌上(書く事)と対面(話すこと)の循環関係
      • 5. 3 書く実践=読む実践が生み出す〈私的な公共圏〉のジェンダー・ポリティクス
    • 6 〈私的な公共圏〉における政治への回路――団体/個人の政治的自由の両立可能性
      • 6. 1 おしゃべりから政治行動へ――会員の意識、コミュニケーションの蓄積、勤務評定問題
      • 6. 2 草の実会/草の実会員の位相――勤務評定問題における決議拒否と署名の論理
      • 6. 3 〈私的な公共圏〉における政治のパラドックスと脱パラドクス化戦略
    • 7 結論

Wednesday, April 2, 2014

掲載告知: 「マルチレベル・ガバナンスにおける民主的正統性と公私再定義――ステークホルダー・デモクラシーのグローバルな実現へ向けて」





雑誌投稿論文が刊行されました.リンク先から,要約および本文をお読み頂けます.掲載誌はオンライン版のみの刊行のため,冊子体はありません.

目次を以下に掲げておきます.

  • 目次
    • I. 序論――ダールのジレンマとガバナンス論の隘路
    • II. グローバルな民主化に向けた複数の戦略
      • 1. 政府の/による民主化――ヘルドのコスモポリタン・デモクラシー
      • 2. 市民社会による民主化と、市民社会の民主化
    • III. マクドナルドのグローバル・ステークホルダー・デモクラシー論
      • 1. 概要
      • 2. 意義と課題
      • 3. 可能なる射程――国連グローバル・コンパクトから
    • IV. デモイの競合と調停――民主的正統性の多回路的実現
      • 1. 代表性と有効性への多回路
      • 2. 応答性への多回路
      • 3. 公私の再定義可能性
    • V. 結論


今回の論文は,政治と理論研究会 第9回(2013年5月8日,法政大学)にて報告した内容に加筆修正を施したものです.研究会にご出席下さった方々に,改めて感謝申し上げます.

加えて一つ,訂正があります.参考文献に挙げている高橋良輔先生のご論文,「国境を越える社会運動と制度化されるNGOネットワーク:空間・運動・ネットワーク」の刊行年が「2009」年と表記されていますが,「2010」年の誤りでした.この場を借りてお詫び申し上げます.

なお,脱稿後に以下の2本の論文に接しました.内田 [2014] はJames Bohmanの議論について,Erman [2013] はTerry Macdonaldの議論について,それぞれ検討を加えており,いずれも拙稿と内容的関連が大きいものです.

  • 内田智 [2014] 「熟議デモクラシー,国境横断的なその制度化の課題と可能性――欧州における討論型世論調査の試みを一例として」『年報政治学』2013(2).
  • Erman, Eva [2013] “In Search of Democratic Agency in Deliberative Governance,” European Journal of International Relation, 19(4): 847-868.

Tuesday, March 18, 2014

掲載告知: 「関係と制度――規範の存立において特別の地位を占めうる事実についての政治理論的探究」



  • 松尾隆佑 [2014. 3] 「関係と制度――規範の存立において特別の地位を占めうる事実についての政治理論的探究」『法政大学 大学院紀要』72: 49-73.


拙論が掲載された紀要が刊行されました.

今回の論文は,これまで同じく紀要に掲載してきた「権力と自由」,「理性・情念・利害」に続く概念論で,利害関係(stake)概念研究の「三部作」の締めくくりにあたります.

これらはいずれも2008年提出の修士論文の一部を再利用したものですが,特に今回の関係論については,以前ブログに連載したものの途絶した「かかわりあいの政治学」を違うかたちで完結させることが,当初の執筆企図にありました.

結果的には,その試みは失敗に終わったと思います.色々と模索はしてみたものの,思うようにはまとまりませんでした.

とはいえ,模索の過程が現われている散らかった駄文であればこそ,何か拾い物があるやもしれません.ご関心の向きにはご笑覧頂ければ幸いです.また,門外漢ながら法学的議論を大幅に扱っておりますので,専門家の方から誤りのご指摘など頂けると嬉しいです.

なお,この論文には一般的な意味で「政治理論」的な議論はほとんど出てきませんので,あしからずご了承ください.われながら,かなり謎な論文に仕上がっています.

目次と抜粋を以下に載せておきます.しばらくするとリポジトリでも公開されることと思いますので,その際には改めて告知いたします.

  • 目次
    • 1. 問題の所在――権利の言説と関係の概念
    • 2. 関係とは何か――意義・定義・類型
    • 3. 関係性と規範――法的権利義務の諸相から
      • 3. 1. 人格
      • 3. 2. 所有
      • 3. 3. 時効
      • 3. 4. 相続
      • 3. 5. 親族
      • 3. 6. 責任
    • 4. 制度の周縁――関係の言説は機能するか


  • 抜粋
 もっとも、意思決定に参与すべき当事者の把握が、本人体験性や関係によらずニーズ概念から一元的に為しうるとの立場から、当事者性概念(ひいては当事者概念)の分析上の意義が解体されるなら、紛争状況に分布する多様なニーズや、より広範な「利害関心interest」の比較衡量に基づいて自己決定権の絶対性も否定可能になるはずであり、そこでは関係のような曖昧な語を用いる必要はなくなる。「人工妊娠中絶や終末期医療をめぐる意思決定過程においては、家族や医療従事者その他のニーズないし利害関心も考慮されるべきである」などと述べればよいからである。また、意思決定過程において各主体の利害関心がどのように反映されているかを経験的に分析するためには、「権力power」概念を利用することが可能である。日常語としての関係から権力概念に還元しうる部分をも除くとすれば、なお残余の部分がありうるかは、ますます頼りない。
 したがって関係概念の分析は、同概念の意味内容に利害関心や権力には還元しきれない部分が存在し、かつそれが意思決定過程の分析において無視できない固有の意義を持つことを解明しながら進められる必要がある。そこで以下ではまず、デイヴィッド・ヒュームの考察を手がかりに関係概念固有の意味内容を見出し、さらに当事者研究における「環状島モデル」を参照することを通じて、この関係が意思決定過程において利害関心や権力に劣らない分析上の意義を有することを示す。その上で、これを新たに「関係性connection」概念として定式化・類型化することを図る(第2節)。次に人格、所有、時効、相続、親族、責任の六項目にわたって具体的法制度の存立根拠を検討しながら、そこにおいて関係性が重要な機能を果たしていることを明らかにする(第3節)。法的権利義務の存立において関係性が占める地位についての検討成果は、制度一般の存立をめぐる考察へと援用されることで、若干の理論的含意を導くであろう。それらを踏まえ、「関係の言説」が権利の言説に並立して用いられる可能性へのささやかな展望を行って、稿を閉じたい(第4節)。

※追記(10/6):リポジトリにて公開されました.

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